確かにヤンキーはモテた。
否、ヤンキーじゃなきゃ、モテる手だてが無かった。
バイクは好きだったけど、速く走る自信も無く、かといって意気地がないからケンカもダメな僕は、グレて暴走族に入ることも無く、モテることもなかった。
やっと初デートにこぎつけたとき、ホットドックプレスやポパイにアンダーラインを引いて予習し、デートコースをロケハンしてから出かけた。
そんな僕を笑える人がどれだけいるのだろう？
そう悪い奴には敵わないのだ。
女の子を誑かすその危険な香りと危うさは本で学習したって身につくものじゃない。
ジョー･ストラマーは言った。
「パンクとはファッションではなく、スピリッツだ。」
（ジャン・ジャック・バーネルだったかもしれない）
「ちょいワル」オヤジが流行っている。
財力に物を言わせ、ちょっとワイルドなファッションと、妖しい雰囲気の飲み屋。
今や、金がなくてはワルにはなれない時代だ。
「あなたは素敵なダウンタウンボーイ。不良のふりしている」
80年代、僕の回りはファミリアやカロⅡの室内をファンシーに飾り立て、ユーミンやサザンやオメガドライブをかけて走り回っていた。
パステル色に囲まれた生活。
でも、みんな不良に憧れていたのかもしれない。
そして今、手に入れることが出来たのだ。ヤクザっぽくない、セクシーな不良を。
